ローンで次々に買い物をする愚かな私

高校卒業後社会人デビューした私はとにかく背伸びがしたかったのだと思う。

雑誌で紹介されるデパート勤務。無知な私はそれに相応しい自分が欲しかった。

だからではないのだけれど、ン十万の高額基礎化粧品に手を出してしまった。

高いなら効果があるだろう、それはとても甘い思い込みだった。

そもそも市販の化粧品でかぶれたことが購入のきっかけだったにも関わらず、この基礎化粧品も使用後かゆみを感じてしまうのだ。

信販で組んだローンの金額は、月々の返済額は一万ちょっとと微々たるものだったけれど、それが今後何年も、効果のないものに支払わなければならないとなると……

思い悩んだ末に消費者センターに相談をした。当の化粧品会社が、かゆみを訴えても、商品交換後の継続使用を進めるだけだったからだ。

後は早かった。

消費者センターの担当者が交渉を行ってくれ、信販会社はローンの未払い分帳消しのみならず、既払い分の全額返金まで認めた。

十九歳の夏、数ヶ月に渡った戦いだった。

しかし過去にそうした経験をしているにも関わらず、五年後の私はまた、似たような経緯から信販ローンを組んでしまう。

今度の購入物は補整下着。サイズ調整があるので、ほぼセミオーダーの品になる。

不規則な生活を送っていた私は、運動する暇がないと自分に言い訳をし、その手間が省けるのならと、試すこともなく四セット購入してしまったのだ。

月々の返済額は二万四千円ほど。これが五年続く。どこが下着なのか、と今なら冷静に振り返れるほどお高い。今すぐお金を借りるまでして購入するものだったのかと後悔した。

しかもワイヤー入りのペチュコートは、体にくっきり跡が残るほど、がちがちに体を締め上げる。これだったらサウナスーツの方が断然お得だろうと思った頃には時既に遅し。

朝から晩まで働き詰めの仕事生活に嫌気が差し、会社を辞めてしまった後には、とにかくローンが重くて辛くて仕方ないものになってしまっていた。

流石に今回は解約は無理だろうと消費者センターに相談してみたところ、やはり着用済みの商品となると解約は難しいとのこと。

着用していない商品があれば、その分だけでも返品でローンを減らせますと言われたものの、以前の化粧品会社と違って、こまめにこちらに連絡を入れてくるアフターサービスの良さに全着着用してしまった後。

月々の返済金額を減らして貰い、返済年数を増やす交渉ならできますが、と言われたが、考え抜いた結果、私は無理をしてでも早く返済することにした。

恵まれていたのは、信販会社の担当者の方が女性で、最後まで変更なくお付き合い頂けたことだろうか。

余裕のないバイト生活での返済だったので、殆ど毎回延滞が付かない駆け込みの二ヶ月分一括振込だったけれども、「ぎりぎりで間に合ってますし、返済用の振込用紙、二ヶ月一度にしますか?その方が銀行に足を運ぶ手間が省けますし」などと大変気を使って頂けた。

勿論担当者の方からすれば、私の返済が行われない方が問題なので、そうしたある種の懐柔策は必須のテクニックなのかも知れないが、間に合わなかった時には「もしかしてご病気ですか?それでしたら一旦返済をお止めできますよ」とも言って頂けた。

こうした交流があったからこそ、最後まで挫けずに返済が出来たのだと思っている。

流石にこれ以降は、背伸びしてまで「キレイ」にお金をかけるのを止めた。

それまでの少女時代からいきなり大人の世界に放り込まれたからこその焦りが、無駄にお金を遣わせることになってしまったのだと、今なら分析できるけれども、当時はそれを女心だと信じて疑わない日々だった。